阪神が苦しんでいる。6月いっぱいで貯金もなくなり、Bクラスに転落した。昨年とは打って変わって走攻守の歯車がうまく噛み合っていない。

 この流れを変えるにはどうしたらいいのか。もちろん主力野手の復調が必要となるが、阪神OB・福永春吾氏は言う。

「新しく下から上に来る選手に期待したいです。彼らが活躍することで良い循環が生まれると思います」

 今季は、レギュラーに定着した前川 右京外野手(智辯学園=21年・ドラフト4位)をはじめ、豊田 寛外野手(東海大相模-国際武道大-日立製作所=21年・ドラフト6位)、野口 恭佑外野手(創成館-九州産業大=22年・育成ドラフト1位)らが一軍で出場しているが、阪神にはまだまだ期待の若手がたくさんいる。

 福永氏は一軍で見てみたい二人の選手の名前をあげた。

 まず一人目は、4年目を迎えた岩田 将貴投手(九産大九州-九州産業大=20年育成ドラフト1位) だ。左の変則サイドで、2年目の7月に支配下契約を結び、昨年は2軍でチームトップの44試合に登板した。今季はキレのスライダーを武器に28登板、防御率1.50と圧巻の数字を残している。

 福永氏は岩田の変則的な投球フォームが有効だと話す。

「阪神の中継ぎ陣はパワーピッチャーが多い中、変則的なピッチャーが加わって相手打者の目線を変えたりできるので、色々なバリエーションを持つことができると思います」

 生命線のスライダーも十分通用すると分析する。

「出所が見づらく、右打者の外から遠巻きに球が来るんです。ボールからストライクになるので、右打者の手が出ない三振も取れると思います」

 野手でも1軍デビューに期待が高まる選手がいる。3年目の中川 勇斗捕手(京都国際=21年・ドラフト7位)だ。ルーキーイヤーから二軍で50試合に出場し、3割に迫る好成績を残した。今季はここまで.318。打撃力を活かし、未来の正捕手候補の1人として名の挙がる存在だ。

 そんな中川を福永氏も称賛。持ち味の打撃以外にも能力の高さを感じるという。

「高卒3年目で若い選手にもかかわらず、落ち着いてプレーできています。これはすごいことです。普通なら先輩への指示や、配球、周りを見ることに追われてしまうんですが……。また、打席では自分のバックスイングができているのがいいですね」

 中川を一軍に上げることで、さらなる成長も期待できる。

「私は台湾でコーチをしているんですが(台鋼ホークス)、捕手は1人しか試合に出られないポジションなので、本当に育成が難しいです。いま阪神の一軍には梅野さん(隆太郎捕手・福岡工大城東-福岡大=13年ドラフト4位)、坂本さん(誠志郎捕手・履正社-明治大=15年ドラフト・2位)いった、球界を代表するような捕手が揃っているので、中川にとっても素晴らしいお手本になります。彼らからあらゆることを吸収できると成長スピードも速くなるはずです」

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