「課題が多いことものびしろを意味する」
菊地はいま、フォームのさらなる修正に取り組んでいる。
「今まではスピードが出ていても、コントロールが悪かった。手投げになっていて、故障につながるので、左足を上げたときに真っ直ぐ立つことを意識しています。お腹に力を入れて投げるようにこだわっています」
4月に就任した荻巣 幹典コーチに体幹の弱さを指摘された。荻巣コーチは昨年まで名古屋経済大で監督を務め、現役時代は東邦、東北福祉大で投手としてプレーしていた実績の持ち主だ。
「東邦では朝倉（健太・元中日）さん、東北福祉大では同期に松崎（伸吾・元楽天）、福田（聡志・元巨人）をみていますが、プロ入りした投手と比べると、技術的には低いです。体力もまだまだです。しかし未完成ながらあれほどのボールを投げるポテンシャルは非凡です。課題が多いのも伸びしろと見ています」（萩巣コーチ）
菊地自身も春からの取り組みに手応えを感じている。
「体幹強化によってフォーム修正ができているので、今のコントロールで常時140キロ台は出せるかなと思っています」
「プロに行かせたい投手」
高倉監督は高校卒業後も菊地はまだまだ伸びるとみている。
「彼はまだ身長が伸びていて、200センチになった。とにかく壊さないようにしたい。未完成に見えますが、あれほどの身長で、あそこまで体を使いこなせるのは天性のバランスだと思っています。あと馬力、体幹がついていけば、もっと良い投手になります。まだ成長段階。そう確信しています。
甲子園は狙いたいですし、甲子園を狙うための最善の策を練っているところですが、菊地は高校野球で終わる子ではありません。これからの投手だと思っています。僕はその先のステージで活躍することを見据えて、今後も育成したいと思っています」
高倉監督は話の中で何度も「プロに行かせたい投手」と話をしていた。
菊地は自らの将来についてこう言い切った。
「昨年、ブレイクしたオリックスの山下（舜平大）投手は気になる存在ですし、究極は大谷翔平投手になることです。
また同世代の長身投手については「知徳の小船投手、前橋商の清水くんはYouTubeとかで見てスゴいなと思いました。特に報徳学園の今朝丸投手は本当にレベルが高くて、全然及ばない存在ですが、『馬力では負けないかな』と思っています。速球、フォークで勝負していきたいと思っています」
菊地の夏の初戦は12日。市立千葉と佐倉の勝者との対戦になる。
「自分を育ててくれた高倉監督や、ずっと支えてくれた母、野球を始めるきっかけとなった兄への恩返しのためにも甲子園の土を踏みたい。そしてプロに行きたいです」（菊地）
菊地ハルンはこの夏、大器の片鱗を見せることができるか。
