この秋、東海地区をリードする学校と見られているのが菰野(三重)だ。夏は2年生レギュラー9人で三重大会を勝ち上がり、16年ぶりの甲子園出場を決め、甲子園でも南陽工相手に6対2で勝利し、聖地初勝利を収めた。言うまでもなく、レギュラーが全員新チームに残っているのである。

 菰野といえば、阪神の主力投手で活躍する西勇輝投手、当時は剛速球右腕として活躍した岡林勇希外野手(中日)を筆頭に、好投手育成に定評のあるチームで、野手もパワー型を育成するイメージが強かった。

 新チームの2年生レギュラーのパフォーマンスを見ると、攻守ともに洗練された選手が多く、実戦向きだ。脆さがなく、春季東海大会準優勝、夏の三重大会で安定した戦いができたのも頷ける戦いぶりだった。森田亮太監督は2年生たちの気質についてこう評する。

「浮き沈みがないですね。三重大会で優勝した時もはしゃぐことはなく、淡々としていました。人間的な成熟が大きい子たちが多いのがこの代の特徴です」

 エースの栄田 人逢投手(2年)は常時130キロ中盤の速球、スライダー、カーブを投げわけ、甲子園初戦では2失点完投勝利を挙げた。球速表示以上に伸びがあり、走者を背負っても粘り強く投げて最少失点に抑えるマウンド裁きの上手さは秀逸。秋以降は東海地区屈指の左腕として注目されるだろう。正捕手の栗本 賢佑捕手(2年)は正確なスローイングが光る好捕手で、投手の持ち味を引き出すリードも秀逸だ。森田亮太監督は守りのキーマンとして評価している。

「ずっと控えの内野手で春から捕手に転向したら、イキイキと野球をするようになったんです。捕手として適性が合ったかなと思いますし、栄田との相性がすごくいい。守備の雰囲気をしっかりと作ってくれる」

 選手たちからの信頼も厚く、守りの面については絶対的な信頼をされている。

 打撃では3番ショートの加瀬大雅内野手(2年)が牽引。夏の三重大会では打率.444を記録し、甲子園で9打数5安打の活躍を見せた。広角に打ち分ける打撃が持ち味で、レフト方向へ鋭いライナーを放ったが、加瀬は「自分の強みです」と胸を張った。背番号15ながら甲子園初戦で4番を打った野田 親之介内野手(2年)は南陽工戦で4打数2安打を放った。守備が上手い選手が多い菰野の中では貴重な右打ちスラッガーとして秋も活躍が期待される。

 甲子園2回戦では西日本短大付に0対13で敗れたが、選手たちは秋季東海大会優勝、そして神宮大会出場に目標を切り替えた。

 まず東海大会出場を目指す秋季三重県大会で、全国大会で強さが話題になるようなチームになれるか楽しみだ。

【夏の甲子園でベンチ入りした2年生】

栄田 人逢投手

栗本 賢佑捕手

森 柊真内野手

小山 剛内野手

中川 漣心内野手

加瀬 大雅内野手

菊地 逢斗外野手

松山 颯汰外野手

梶谷 大也外野手

立岩 蒼晴内野手

野田 親之介内野手

渡辺 泰生内野手

安藤 悠惺外野手

贄 慶太投手