夏の甲子園49代表校が決まり、4日には抽選会が行われる。今年の出場校の中で「Aクラス」の戦力を持つのは、以下の11校だ。

青森山田(青森)
健大高崎(群馬)
花咲徳栄(埼玉)
関東一(東東京)
東海大相模(神奈川)
京都国際(京都)
大阪桐蔭(大阪)
報徳学園(兵庫)
智辯和歌山(和歌山)
広陵(広島)
神村学園(鹿児島)

 11校の戦力分析と評価を打撃、投手力、守備、走塁の4項目で行い、勝ち上がるための課題を展望していきたい。

*4項目の評価の目安

【打撃】A:大量得点に期待 B:ある程度の得点は期待 C:ロースコア覚悟
【投手】A:3人以上の頼れる投手がいる B:2人の先発投手がいる C:絶対的投手、あるいは頼れる投手が1人しかいない
【走塁】A:ワンヒットで還る走力を持ち、盗塁にも期待 B:判断ミスは少なくそつない走塁 C:判断ミスが多く、走れる選手も少ない
【守備】A:基礎能力が高く、連携プレーにもスキがない B:各野手の基礎能力が高い C:ミスが見られる

春夏連覇を狙う健大高崎にアクシデントも打線は強力、東海大相模は「日本一の投手力」を誇る

青森山田(青森代表)
打撃A 投手A 走塁B 守備B

 センバツベスト8の青森山田。選手1人1人の能力は高い。152キロ右腕・関 浩一郎投手は青森大会で準々決勝、決勝のみ登板だったように、関に頼らず投手運用ができる。センバツでも登板した櫻田 朔投手(3年)はゲームメイク能力が高い。さらに、この夏台頭した乕谷 朔ノ助投手(2️年)、下山 大昂投手(2年)が好投した。

 打線は2本塁打のスラッガー・原田 純希内野手など計6本塁打を記録し、超強力。関、櫻田に負担をかけずに勝ち上がることができた。優勝のためには関が投げずに勝てる試合が1試合でもあるのが理想。センバツを経験した打者たちが実力を発揮できるか。

健大高崎(群馬代表)
打撃A 投手B 走塁B 守備A

 春夏連覇を狙う健大高崎は、圧倒的な打力と投手力でライバルを破り、厳しい群馬大会を勝ち上がってきた。投手では、153キロ右腕・石垣 元気投手(2年)、佐藤 龍月投手(2年)が軸となり、彼らが投げないときは大型左腕・下重 賢慎投手(2年)、右腕・仲本 暖投手(3年)がカバーしてきた。しかし、甲子園では佐藤がヒジの故障でベンチ外。群馬大会の投球を見る限り、あまり調子が良くないように感じた。夏の大会から違和感があったかもしれない。最も頼れる石垣の負担を、下重、仲本、そして佐藤の代わりにベンチ入りする杉山 優哉投手(3年)が減らすことはできるか。

 打線は群馬大会で2本塁打を放った箱山 遥人捕手(3年)、田中 陽翔内野手(3年)など計7本塁打を記録し、超強力。投手陣の心理的負担を減らす強さはある。アクシデントを乗り越えるには代役が予想以上の活躍を見せること。それを大会で見せることができるか。

花咲徳栄(埼玉代表)
打撃A 投手B 走塁B 守備B

 世代NO.1スラッガー・石塚 裕惺内野手(3年)を筆頭にミート力が高い打者が揃い、埼玉大会では63得点。140キロ超えの投手をしっかりと攻略してきた。多少の失点をしても、すぐに取り返せる破壊力がある。

 埼玉大会では21失点を喫し、不安が残る投手陣だが、149キロ右腕・上原 堆我投手(3年)を筆頭に岡山 稜投手(3年)、和久井 大地投手(3年)など140キロを超える速球と切れ味鋭い変化球を投げる投手が控えており、甲子園ではしっかりと立て直して、戦えると見ている。埼玉大会では西武台山村学園昌平と全国レベルのチームと試合をして接戦を勝ち抜いたことも選手たちの力となりそうだ。

関東一(東東京代表)
打撃B 投手B 走塁A 守備A

 激戦区の東東京を制した関東一二松学舎大附帝京と全国レベルの強打のチームを封じてきた。投手陣では140キロ台後半の速球を投げ込む坂井 遼投手(3年)、技巧派左腕・畠中 鉄心投手(3年)が中心。そして、リリーフとしても活躍した大後 武尊投手(3年)が出てきた。ベスト8以上にいくには大後がどれだけ投げられるかにかかっている。

 打線では俊足の飛田 優悟外野手(3年)、坂本 慎太郎外野手(3年)でチャンスメイクし、高校通算60本塁打のスラッガー・高橋 徹平内野手(3年)など右の強打者たちで還すパターンを確立してきた。走塁意識はレギュラーの選手はどの選手も高く、シングルヒットでも少しでもスキがあれば、二塁に陥れる。守備意識も高く、エラーからの失点は少ない。

東海大相模(神奈川代表)
打撃A 投手A 走塁B 守備B

 5年ぶり出場の東海大相模は49校の中で最も投手力が厚く、役割分担がしっかりしている。先発は198センチ左腕・藤田 琉生投手(3年)、150キロ右腕・福田 拓翔投手(2年)が盤石。準決勝、決勝では2人のリレーがあったが、基本的に藤田が投げるときは福田は温存、藤田が投げるときは福田は温存という形ができた。それを可能にしたのは、高橋 侑雅投手(3年)、塚本 空輝投手(3年)の2人の台頭が大きい。高橋は140キロ台中盤の速球で勝負する本格派右腕。塚本は130キロ台後半の速球、カットボールで打たせて取る。決勝戦で9回を締めたのは塚本だった。原俊介監督の信頼が伝わる。ほかにもスライダーのキレがよい左腕・島村 宏斗投手(2年)、左サイドの菅野 悠投手(2年)がベンチ入りしていたが、甲子園でも出番があるのか。

 打線は速球投手に強い中村 龍之介外野手(2年)、横浜スタジアムで特大弾を放った左のスラッガー・金本 貫汰内野手(2年)、伸び盛りの強肩強打の三浦 誠登外野手(2年)が中心。大量点が期待できる。守備ではショートの才田 和空内野手(3年)の意識の高さが素晴らしく、内外野の連係をまとめている。ところどころポカがある守備陣だからこそ、才田の存在が大きい。

今年の大阪桐蔭は「投手力」、守備に主体のメンバー構成で全国制覇狙う

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